私はもともと、ファッション云々よりも先に「モノ」自体が好きで、その中でも靴は今でも1番愛着を持って接している道具です。
思えば小学生の頃、誕生日に買ってもらった黒のレザーコルテッツ(私の親父は元アイビーマンでした)を穴が開くまで履いていたのが始まりでしょうか。涙が出そうですね。
ところで、足元を見る、という言葉がありますが、これは一部の人間では本当に自然の動作で行われることだと思います。
フィットしたスーツを着、
レザーの鞄をしっかり手で持つ品のいい初老の男性が、エナメルロングノーズの反り上がった靴や汚れたギョーザグツを履いて
いる、なんてことが
現代日本では日常茶飯事です。
また、レッドウイングやダナーのブーツを、紐も閉めずに引きずるように歩き、アッパーまで削れているような人間もよく見ます。
紳士であればそんな事にはならないでしょう。
やはりモノの味というものの美しさがわかる男であれば、長年の使用に耐え、愛着を持って接せられる靴を履こうではありませんか。
お手入れもしっかりね!
と、いうわけで、今回は革靴の中では初心者向けの価格帯とも言える〜30,000円のラインを、独断と偏見、慕情と嫉妬を多分に含んだチョイスでまとめてみました。
※この値段帯での革質を比較するのはナンセンスという意見もありますが、当記事は筆者の好みや感想を書いていますので、議論は受け付けないものとします。
⇒2016/2/10 REGAL スコッチグレイン ジャランスリワヤ berwick 更新しました
2016/6/30 ジャランスリワヤ berwick 更新しました
2017/2/9 リンク切れ箇所を削除
2018/7/22 権利侵害の恐れのある画像を削除しました
目次
REGAL
旧日本製靴の名前はダテじゃありません。
…しかし、最近の若者の間では、
ちょっと高いオッチャン靴
というイメージがあるようです…が、
とんでもない。
国内の職人が作る名靴を沢山つくっています。
中〜上級ラインの定番品にはおなじみの名作がいくつもあり、どれも美しく(メンテナンスをきっちりすれば)、長年の実
用に耐えうるラギッドさをもち、かつ作りも非常に丁寧です。
廉価なラインや、ハイテク系の物にはセメンテッド製法が使われていますので、注意です。モテませんよ。
初心者の方にオススメなのは、外羽根プレーンのやはり名作ド定番です
チャーチの名靴シャノンやオールデンのプレーントゥと並べられることもある、素晴らしいデザインです。
ガラス革ですので初心者の方にもおすすめです。
私としては、傷がついても目立たない、かつカントリー風な型押しレザーのほうが好みです。
これは名作です。日本のメンズファッションの原点と言ったら言いすぎか。
きっちり手入れをして長くはきたいですね。
また、ウィングチップも名作と言えるでしょう。
→2016/2追記
なんだか値上がりしてました...
3万超えてる...
それでもかっこいいんですけどね…
もはやジャパニーズトラッドといっても過言ではないほどの名作でございます。
私はこのモデルにあこがれがありまして、同じデザインでREGALにパターンオーダーをお願いしようと思っているほどです。 コードバン…
近年この辺りの価格帯で絶大な人気を誇るメーカーです。
やはり工房での職人技が光るマジメな造りの靴が沢山です。
定価では30000円は超えてくるのですが、
廉価ラインがネットで実売10,000円台で流れています。これは非常に嬉しい。
強み
・値段の割に革が良質なカーフ
・レザーソールの高級感
・割と有名
・同じ価格帯の外国製より縫製が丁寧な傾向
1年目に、
上司から
スコッチグレインをオススメされるなんて話も聞きます。
(どっかのブログで見た)
また、アウトレットにて出品している「匠」シリーズは値段と質のバランスが崩壊している(質が良い)と各所ブログなどで話題になっています。
残念ながらネットやアウトレット以外の店舗では匠シリーズは取り扱っていないようです。
純正のソールで同じ工程で修理してくれるメーカーさんは今なかなかないでしょう。
職人魂が垣間見えるような体制であります。
こんなメーカーさんが日本にも増えれば日本の靴文化も成長を見せるでしょうねえ...
モダンな雰囲気のダブルモンク
あたりがオススメです。
手入れ次第で何年も履けます。
まさに日本製の魅力。
宮城興業
〜30,000円ではないところが多いですが、浅草の某店でキップで最安28000円でオーダーできると聞いたことがあります。
(なかなか勇気がいる店でしたが…)
そう、反則のオーダーでございます。
フルオーダーではなく、何種類かの木型に一番合うものを選ぶパターンオーダーです。
オーダーシューズならではの、独特のクラフト感を持った靴です。
こちらは、
2ch等でツワモノ達の意見を聞くことができますので、
ぜひググってみると良いでしょう。
革質がよくないと言われることもありますが、
丈夫なキップですので愛着を持って長く履ける逸品だと私は思っています。
強み
・オーダーというセレブ感…!
・デザイン沢山
・国内製造で作りがとても丁寧
個人的に惹かれるのは、
Aldenの名作ラスト「
モディファイドラスト」
をイメージして作られたMDシリーズです。
オールデンの
vチップモディファイドラストが欲しいけど到底買え
ない…ぐす…
という人にもオススメです!私もいつか作りたい。
ちなみに、上記は宮城デンと呼ばれたりします。
特徴としては、ややロングノーズな靴が多く、かつ値段帯とモデル数が多いところでしょうか。
特に、ここの上級ラインのペルフェットは国産靴の中でも屈指の品質とコストパフォーマンスを誇ります。
もう少し廉価なラインも、値段から考えると非常に上質で作り、革質も素晴らしいです。
手入れによって長くはける良靴です。
強み
・価格帯とデザインが沢山
・イマドキだが、突飛ではないデザインバランス
全体的にスリムなスーツに似合う靴です。
ロングノーズすぎないものがオススメです。
いやさすがの造りの良さとコストパフォーマンスです。
手入れ次第で一生ものになりえます。
ショーンハイト
元リーガルの工房として靴を作っていた「東立製靴」のブランドです。
木型が秀逸で、個人的にはパッと見は50,000万円の高級靴のようなエレガントさがあるように思います。
コストカットの関係か、アッパーの内股側、フマズあたりにあまり見ないステッチが入っているとの情報もありますが、モデルによるようです。
情報は少ないですが、国産でこのデザインでこの値段は非常に良心的ですので、オススメということで。
オーダーもこんなお値段…
強み
・安い、国産、雰囲気。
・オーダーも安い
・作りは非常に丁寧
・スタンダードなデザイン
・丈夫なキップを使用
ツイッターでの評判もよく、ホームページのデザインも良いです。
好感度高し。
G.H.Bass
こちらはビジネス用というよりはカジュアルに適しています。
代表作はweejunsというペニーローファーで、これは然るべき世界(?)の人間は知らぬ人はいないほどの定番商品です。
ガラスレザーとグローブレザーのモデルがありまして、革底です。
デザインはオーソドックスなペニーローファーで、よく双極扱いをされるセバゴのローファーよりもややスマートな顔つきです。
スラックスや
ジーンズにこれを履いていたらもう下半身イケメンの
出来上がり。もちろん靴下は見えないものを。
エレガントなキルトのついたモデルもあります。
注意しなければならないのが、
アメリカのワイズ単位ですので、
Dが多いです。結構狭いので、
普通のスニーカーサイズとかに合わせると履けないことが多いです
。
私は幅広な足なので、お店の最大サイズが履けませんでした…
ワイズEもありますよ。
Bassの品揃えは、
三軒茶屋のセプティズ様が有名です。
相談にも丁寧に対応していただけます。
スリッポンという特性上、試し履きはしたほうがいいでしょう。
Locking Shoes
アメカジファンは知っている方もいらっしゃいましょう。
上野の有名
靴店、フットモンキーのオリジナルブランドです。
レッドウイングからホワイツ、さらにトリッカーズやローリングダブトリオまで扱う当店ならではの、絶妙なデザインと厚手のラギッドな牛革が特徴的です。
オールデンが欲しいけど…や、トリッカーズ…な人にオススメです。
強み
・アメカジファンにはたまらないデザイン
・値段の割の迫力
・ワーク系ラストの無骨さ
ですかね。
個人的に気になってしまうのは、
製法についての記載がほぼありませんが、実物を見たところ、
どうも
グッドイヤーウェルトではないような。
インソールにステッチが見えた(気がする)のでマッケイ、またはブラックラピド系の製法と思われます。
デザインだけ見ると
グッドイヤーウェルトですので、
こだわる人は注意しましょう。
気にならない人にはたまらない商品バランスだと思いますよ。
ラギッドなソールがたまりません。
大好物。ダブルモンク。
ヘビーデューティーな雰囲気なローファー(今はじめてみたけど欲しいな)
トリッカーズ風
いいバランスです。
ジャランスリワヤ JALAN SRIWIJAYA
ジャランスリワヤ(以下、ジャラン)はインドにファクトリーを置くメーカーで、イギリスで修行をしたインドの方が創業したそう。
特徴としては、この価格なのにフランスの名タンナー「デュ・プイ」の革をアッパーに使っていること、この価格なのに九分仕立て(だし縫い:アウトソールの縫い付け 以外が手縫いで仕立てられる靴のこと。)であること、豊富なデザインが挙げられます。
靴業界の衝撃とも言えるスペックです。
ただし、文面ではとんでもない靴ですが、もちろんデュプイの中では低級のものを使っている、芯材が弱く、エイジングがよろしくない等の意見(あくまで意見です)も見られます。
私はサイズが合わず、試着以外で履いたことがありません...
セレクトショップにおいてあることもありますので、
是非とも試し履きの上、ご検討ください。
(私はUA系のセレクトショップにてローファーを履き、サイズが合わなかった際に、店員さんに「グッドイヤーなので馴染みます。ローファーですのでこのくらいがジャストです!職人の手作りですので馴染みが普通の革靴より...」と言われたことがあります。高い買い物ですので惑わされず、キツかったらやめましょう。)
30,000円からはみ出るモデルが多いですが、20,000円台で手に入れることもできます。
UA系のお店で、
セールで21000円で出てるのを見たことがあります。
この値段はやはり驚異的。
汚れがついてる場合もありますので、チェックしてから購入しましょう!
いい靴です!
私が感心したのは、ペニーローファーがウェストン風のフレンチローファーデザインだったこと。
ウェストンはさすがに思い切りが必要ですので、いいポイントを突いてきたと思いました。
今とってもアツイメーカーだと思います。
↓
楽天は2万円台が出るとすぐ売り切れてしまうようで、あまり見つけることができませんでした...
Berwick
Berwick(バーウィック)はスペインの靴メーカーです。
一般的にはあまり有名ではありませんが、スペインは靴の産地として一定の名声を得ていまして、そのなかでもBerwickは廉価なメーカーと言えます。
デザインはスペイン靴の多分に漏れず、
イギリス系の
質実剛健な印象です。
革はキップでしっかりとしていて、重厚さを感じます。
ラスト(木型)もイギリス系のふくよかな印象で、厚手のキップと相まってクラシカルな印象です。
革靴入門としては最適と思います。
そうそう、なんでかこのメーカだけではなく、ヤンコなどのスペイン系のメーカーはホールカットが非常に美しいんですよね...
オールデンの名作、990のような外羽根プレーントゥもあります。
雰囲気も申し分なし。とても丈夫そうで、ジーンズにも合いそうです。
MEERMIN
メルミンと読みます。
こちらもスペイン産で、70,000円オーバーの煌びやかな靴も作ってたりします。
安いラインがありまして、
Amazonにて実売20,
000円台で買えます。
ここの定番はやはり外羽Uチップ!
イギリス系のUチップで、ダイナイトソールかつグレインレザーという素晴らしきカントリー仕様です。
ざっくり目な生地のスーツスタイルから
ジーンズまで幅広い守備範
囲を誇ります。
私も欲しい。
フルブローグもありまして、スムースなレザーとグレインレザーのコンビ仕様。
これも欲しい。とても20,000円台には見えません。
外羽根プレーントゥもあります。
作りも
質実剛健で、日本製ともいい勝負なほどに丁寧です。
人と同じが好きじゃない人には超オススメですね。
青山に堂々と直営店を構えているのも安心。
いや欲しい。
どうです。欲しいでしょう。
→2016/2追記
現在、メルミン名義でのこの価格帯はかなり減っており、メルミンに入れ替わる形で「Reinos (レイノス)」というブランドが立ち上がっているようです。
製法は少しマッケイで、少しロングノーズな印象、イタリアとイギリスの真ん中のような形です。
詳しくは以下も参照の事↓
最後に
これからもいいメーカーを見つけたらきっと増えていきます。きっと。
以上!